杉原未来さんインタビュー|農業を頑張ってる方々を支援していきたい【一般社団法人くちなし代表理事】

杉原未来さん インタビュー
杉原未来さん(一般社団法人くちなし代表理事)

農産物の引き取りや買取、小ロットの商品開発、物資支給、フードバンクなどを行う”一般社団法人くちなし”の代表理事である杉原未来(スギハラミライ)さんにインタビューをさせていただきました。

「瀬戸内果実酢」のクラウドファンディングに挑戦中である杉原さんに、事業を始めるきっかけや、もし生まれ変わることができるとしたら何になりたいかなど、さまざまな質問にお答えいただきました。

一般社団法人くちなしを設立した理由

 一般社団法人くちなしを設立したきっかけや経緯について教えてもらえますか?

島根県出身で、鳥取大学を卒業後、就職がきっかけで岡山に移住しました。
以前の職歴では、経営コンサルのベンチャー企業と行政書士事務所で働いており、経営コンサルのベンチャー企業では企業の経営者をサポートする仕事に従事しました。

行政書士事務所でも多くの人々と出会い、仕事を通じてだけでなく、個人的に農家さんなどとも親交を深め、たまたま知り合いの知り合いと繋がることもありました。

「一般社団法人くちなし」を設立したのは2022年9月です。
行政書士事務所を離れた後、2021年からライターとして独立開業すると取材を通し岡山県の農産物の魅力にふれる機会が増えていき、農業のPR分野で活動したいという思いから、独立し、比較的早く会社を設立しました。

発酵学の授業がきっかけで日本酒好きに

杉原未来さんと日本酒

趣味や好きなことについて教えてもらえますか?

日本酒が本当に大好きです。
その趣味が高じて、農家の方々からの推薦で2022年にはMiss SAKE okayama大会にも出場しました。※なお、未来さんはこの大会で準グランプリに選ばれています。

きっかけは発酵学の授業

大学生の時に、発酵学という授業でお酒や味噌などの発酵食品について学びました。
その授業の目玉は、講義室に鳥取中の酒蔵さんを一堂に集めて行う試飲会でした。

この授業を通じて、お酒の味が作り方によってどれだけ変わるかという印象を受け、さまざまな発酵食品に興味を持つようになり、その体験をきっかけに日本酒が趣味へとつながっていきました。

お酒は地域の食文化に根付いている

日本酒は、お米の美味しさはもちろん、土地ごとの特産品が絶品で、それに合うお酒が造られているのが魅力です。
また、気候や風土によってお酒の味わいも大きく異なり、岡山では獲れる海産物に合わせた甘口のお酒が豊富だと思います。

島根、鳥取の山陰地方は寒く、日本海は波も荒いので、脂の乗ったお魚が多くて、それにあったお酒とか、ちょっと辛口のお酒が多いかなという印象があって、そういうところも日本酒の面白さですね。

現在は、奉還町のモアフルにて月一回ほど「モアフル×モアサケ」という日本酒会も主催しています。

クラウドファンディングを始めた経緯

実施されているクラウドファンディングについて教えていただけますか?

異業種の交流会に行ったり共通の知り合いを辿ったりしていく中で、今回のクラファンの真備のブドウ農家「たけまさぶどう園」さんと出会いました。
その時は特にクラファンしよう!みたいな話ではありませんでした。

お写真のご準備とか、パッケージがどうやったらみんなに受け入れてもらえるデザインなのかっていうのを農家さんからご相談下さり、「一緒に商品開発しましょう!」という話になりました。

そして私と葛西さん(共同代表)でなにか協力できることはないかなと思案し、「たけまさぶどう園」さんと共に商品開発した「瀬戸内果実酢」が生まれました。

瀬戸内果実酢|お酒を飲む人も飲まない人も、瀬戸内の恵みを美味しく味わうノンアルビネガードリンク ー CAMPFIRE

杉原未来さんのクラウドファンディング

私はアルコールが好きですが、逆のこともやっていきたい、アルコールが飲めない人や苦手な人の助けになれる存在でいたいと思っていました。

瀬戸内果実酢は、ブドウをそのまま発酵させるのではなく、ブドウの果汁をリンゴ酢や米酢など既存のお酢とブレンドして作られています。製造と加工作業も弊社で行っており、これは清涼飲料水に該当します。(賞味期限は約1年とのこと)
私たちは小規模な工場を所有していて、その中には大きな熱殺菌装置や業務用の大型冷蔵庫、冷凍庫を3、4台設置しています。

真備の水害では、ハウスが水に浸かり、ブドウの木の根が酸素を取り込むことができない状態になりました。その結果、ほとんどの木がダメージを受け、新たに植え直す必要がありました。ブドウの木は、美味しい実をつけるまでに約5年かかります。

真備の人たちも、水害の記憶を風化させず、忘れないようにという気持ちから、復興から5年以上が経過した現在も積極的に活動している人たちがいて、何かイベントを開催したいという話も出ています。
将来的には、真備の復興マルシェのようなイベントが行われる場合、出店や協力で参加したいと考えています。

生まれ変わったら何になりたいですか?

突拍子もない質問なんですが、生まれ変わったら何になりたいですか?

虫になりたいです。私、ずっと学部でガ(蛾)のフェロモンの研究をしてたんです。

簡単に説明すると、メスのいい香り(フェロモン)につられてオスが集まってくる。そこでお相手を見つけて、子供が生まれるわけですよね。でも、その子供である幼虫が白菜とかキャベツの葉っぱの野菜を食い荒らして、葉物野菜の農家さんは困るわけです。

その対策として、子供が生まれなければいいと。オス、メス出会わなければいいと。
人工的に作ったメスのフェロモンのいい香りだけ置くんですよ。
そうしたらそこにオスが集まってきて、あれ、いい香りがするのにメスがいない、どこだどこだと飛び回って、そこで生涯を終えてしまう。

農薬もそんなに撒かなくていいので、土地にも優しいし野菜にも優しいし、人間にも優しいかな、という仕掛けです。
蛾によってそのいい香りが全然違うんで、1種類1種類を世界中の色んな大学の研究者たちが地道にその成分を研究してる。

え、なんか研究されるってどんな気持ちなんだろう、と思ったんです。

例として、虫をはじめとする野生動物は、「この相手には勝てない」と思ったら基本的にそれ以上無理に戦わないのです。
それってすごく合理的で自分のエネルギーを減らさずに済む。
でも、人間ってそれができないじゃないですか。

合理的に本能のまま動く、そういった設計をされている体の状態を感じてみたい。
YESかNOぐらいの世界をちょっと感じてみたい。そういう世界で生きてみたいなという気持ちがあります。

今後も農家さんと企画開発していきたい

今後の活動の展望について教えて頂けますか?

今後はこの瀬戸内地域・中四国地域を中心にして、やっぱり一次産業、農業を頑張ってる方々を支える活動をやっていきたいです。
私たち一般社団法人くちなしのビジョンは、商品開発・製造加工を通して「身近なおいしいを形にする」なんです。
農業から離れたポジションだからこそ、農業を助けられる部分があると思うんです。

私たちの会社なら、小さいマスで協力できる

歴史ある大きな製造加工会社さんって、例えば「最低のロットは1000本からなんです」というところがほとんど。工場の運営上で仕方のないことではあるのですが、小規模な農家さんは手を出せない。
ちょっとシロップを作りたいとか、ジャムを作りたいと言っても、頼めないことが多いんです。

でも、そういった個人でされてる方や、小規模でまずはスタートしてみたいという人も、私の会社だったら、100本ロットとかから小さいマスで始められます。
そういった方たちを応援できるようなポジションで、将来的には地域に愛されるものを作り出していきたいですね。

「地域の農家さんの、農作物を使わせていただくこと」が絶対条件です。

杉原未来さんの今後の活動

瀬戸内のいろんな果物だったり、今回はビネガーですが、清涼飲料水にあたるジュースであったり、シロップであったり、ジャムとかも作っていきたいなって。
牛窓のレモンを使って、レモンマーマレードやレモンシロップ、レモンジャムなどを製品開発しています。
シロップも割り材で、炭酸で割ったりとかお菓子作りの時にちょっと入れていただくとか、瀬戸内果実酢のレモン味としても出そうかなと考えています。

災害用の食料、食品の商品開発も

レトルトカレーとかも作りたいと思っています。キャンプ飯のような。
設備はあるのでそういったものも企画開発中です。
災害時にも応用できるかなと思っていて、まずは災害用の備蓄食料としてご購入いただけたらと、色々な場面を想像しながら商品開発もしてます。

結局、ビネガーやシロップもなんですが、お酢や糖分を濃く入れたら長期間の保存が可能です。
手のひらサイズのパウチとかにしたら携帯できるし、水で割ったらジュースにもなるしビタミンもすぐ取れるので、災害時にもキャンプ時にもいいかなと考えてます。

今後は新しい商品が出たよっていう、お知らせとしてクラファンをやっていきたいなと思ってます。

さいごに

”一般社団法人くちなし”の活動やクラウドファンディングを通して、地域社会への貢献を続ける杉原さん。彼女の情熱と地域愛は、岡山の美味しい農産物とともに、ますます広がっていくことでしょう。
この度はインタビューにお答えいただきありがとうございました。今後の活躍を応援しています!

コメント

タイトルとURLをコピーしました